ジャズボーカル 松田オリビア圭子

ジャズボーカル 松田オリビア圭子のブログです。主にスケジュールのご案内を掲載します。

ひさしぶりのジャムセッション

数ヶ月ぶりにセッションに参加。
先週末に楽譜を整頓していろいろな歌を思い出したり、
多少歌ったりしていたことも幸いしたか、ブランクのわりにいい感じで楽しめた。


EDIROL R-09で録音して、聞き返してみる。
(これで録音すると自分の声が好きでいられる。ほんと)
うーん声量がない。でもいいや。
学生時代にジャズを歌いはじめてからずっと、
ハリのある大きな声のひとを羨ましいと思ったし、
それが上手で正しい歌い方みたいに思ってたところがあるけど、
ここ何年かで、その考えはもう返上しようと思えてきている。


私は大きい声でもないし艶とかハリとかのある声でない。
いわゆる「パンチのきいた」曲をやろうとすると、腰砕けになる。
それがくやしくて練習した時期もあったけど、はかどらないし楽しくなかった。
でも逆に、話しかけるような、とか、ひとりごとのような、とかの路線なら、うまくいく。
楽だし気持ちいいし拍手も口笛ももらえる。
小さい頃は楽して良い結果を出そうなんてずるいし無理なのだと覚えさせられてきた気がするけど、
自分に向いたことで、今手の中にある要素で最大のよい結果を出して誰かと喜びを共有することが、
悪いことであるはずがない、と、いまは思っている。
そう思うようになってからの自分の歌がどうも好きなのだ。
そして、好きになると、いい出来の回が増えていく。
もっとよくしようと思うことも、ちっとも苦しくない。楽しい。


声が小さいなら、マイクにしっかり乗せて、いいPAのセッティングをお願いしたらいい。
楽器ができないなら、この曲をやりたいけれど一緒に演奏してくれないかと話したらいい。
現状を恥じる必要はなくて、逆に、
いろいろできない自分の状態をちゃんと把握していて、
それで工夫して望むものを作り出せるのなら、それはもうじゅうぶんなのではないか。


たぶん音楽以外のことだってそうなんだ。
たとえば私は一度に多くの事柄を覚えるのがニガテ。
そこを、覚えられるようにあれこれのビジネス書とかを読んでコストをかけて自分ハックをするよりも、
外部記憶をうまく使う工夫をするとかの方向が効率がいいんじゃないか。
自分の外に目をやれば、すばらしいPAも、すばらしいツールもライブラリも、
それから、ときどきびっくりすることには、自分のじゃないすばらしい頭脳や技術力までもが、
使っていいよと待っててくれていることがある。
「自分じゃない素晴らしい誰かみたいになりたい」とかじゃなくて、
私が望むのはこれこれで、それにはあれとこれが足りなくて困っちゃう、とかならば
素直に叶う今日このごろ、なのではなかろうか。
そこで私がするといいのは、あれをしたい、これをしたいと具体的に欲張って望んでいくことなんじゃないか。


なんて、前向きな妄想を喚起してもらえてしまうような、
素敵なセッションだったのでした。
曲は2曲、Cry me a river と Honeysuckle Roseでした。いい日。